2014年のゲームを振り返る: 『大規模なRPG』
投稿者: 井戸乃博士 投稿日:2015/01/02 04:44 【レビュー】
皆様、いかがお過ごしでしょうか? 井戸の博士の助手、ラヴィアンです♪ |
どうも、井戸の博士でござります。 2014年も終わりか・・・Rmakeは5周年で節目の年だったわけだが、 特にゲームのことを振り返ってみると、 全体として作品のレベルが上がったような気がする。 ラヴィ君、どう思うかね? |
そうですね。おっしゃるとおり、 クオリティが高く印象深い作品が増えたと思います。 技術やセンスのあるクリエイターの方も、 たくさんRmakeに入って来られましたね。 |
その通りだ。 せっかく良作が次々と出ておるのに、 このまま埋もれさせて良いものだろうか?(反語) そこで、わしが特に印象に残った作品を独断と偏見で選び 紹介していこうと思う。 今回紹介するのはこちらの作品だ。 |
cdv30200さんの『大規模なRPG』ですね。 2014年の11月23日に公開されています。 比較的新しい作品ですね。 |
個人的に、この作品には非常に懐かしい雰囲気を感じる。 わしが若い頃ファミコンで遊んでいたRPGの雰囲気を・・・ ラヴィ君、きみは知らんだろうが 昔ドラクエというRPGがあってだな・・・ |
私だってドラクエくらいは知っています。 現在も新しいシリーズが出続けているじゃありませんか・・・ 博士こそ本当にご存知なんですか? |
い、いや本当だってば! わしがプレイしておった頃のドラクエは、 きみの知っているドラクエとは一味違うぞ。 バッテリーバックアップなどという気の利いたものはなくてなあ 復活の呪文を書き留めては・・・ |
復活の呪文・・・それはさすがに知りません・・・ 博士、あの、昔話はそれくらいにして 本題に入っていただけますか? |
おお、そうそう・・ わしが言いたいのは、このゲームには昔のRPG、 特にファミコン初期のドラクエに近い雰囲気が 随所に感じられるということなのだよ。 その特徴を説明していくとしよう。 |
《探索》
RPGの魅力のひとつは「探索」だと思う。 人の話を聞いて情報を収集したり、 行けなかった場所に行ったりして、 自分で行動範囲を広げていく。 その先にある新しいものを見つける楽しさ・・・ 特にグラフィックや演出の表現がまだ発達していなかった頃は、 このようにプレイヤーに探索させるゲームが多かったのだ。 例えば、初期のドラクエやファミコン版のFFⅢは 世界を探索する魅力にあふれたゲームだったと思っておる。 |
そういえば、指示されたとおりに行動するしかなくて、 考える余地のないゲームは「お使い」と言われることがありますね。 それにグラフィックやシナリオが優れたゲームは 映像作品としての魅力がある反面、 プレーヤーの自由を奪っているという批判もあります。 |
この「大規模なRPG」はグラフィックやシナリオも良いが、 今言ったような「探索」の要素をとても大事にしている。 情報を必要最小限に抑えて プレイヤーに考えさせる余地を増やしているんだ。 次の目的地がわからないときは、 既に知っている情報から推測したり、 自分の足であちこち行ってみたりする必要がある。 そのためにプレイヤーは世界中を巡ることになる。 ちょっと情報不足なところもあるけど、 探索の旅する楽しみが存分に味わえる。 |
旅と言えば、この作品には移動手段として船が登場しますね。 市販のRPGでは当たり前のように船が登場しますが、 Rmakeのゲームで作るとなるとかなり大変です。 それを実現されただけでも評価に値すると思います。 |
この作品では船で旅することが多いからね。 そういえば、ドラクエも船を手に入れると世界が大きく広がったなあ・・・ そうそう個人的にすごく感動したのだが、 ラヴィ君、下の画像を見てくれ。 これはフィールドの東側の端にあたる場所なんだが・・・ このままずうっと東(右)に行くとどうなると思う? |
そうですね・・・ Rmakeの仕様を考えると、行き止まりになりそうですが・・・ 違うんですか?もしかして・・・ |
なぁんと西側に出られるのだよ!(画像はフィールドの西側の端) 世界は丸いんだね! 大航海時代の感動をこんなところで味わえるなんてすごいだろう? |
言われてみれば市販のRPGでも たいていフィールドの西と東、北と南はつながってますものね・・・ でもRmakeの作品でそれを実現するのは、 やはり大変な作業だと思います。 実現されていることに驚嘆いたします。 |
《緊張感のある戦闘》
この作品は戦闘のバランスが少々厳しい。 例えて言うなら・・・ ファミコン版のドラクエⅡとほぼ同じレベルと言ってよかろう。 もしかすると本作を意識しているのかもしれん。 |
その例えは、よくわかりませんが・・・ 難しい作品なのですか? |
知らんのか?! シリーズでも最も難しいと言われているのに・・・ 詳しいことは「ロンダルキア」とか「マンドリル」とかで検索すれば分かるだろう。 それはともかく、この作品は序盤からして難易度高めだ。 ちゃんと戦略を練って準備しておかないと イエロースライムやコボルトの親分にボロボロにされるだろう。 それ以降も手強い敵や嫌らしい敵が出て来て終盤まで気が抜けない。 レベルと装備が十分でも強力な攻撃を仕掛けてくる敵がいて、 わずかな判断のミスで全滅する危険が常にある。 例えば、上の画像の右上と左上の敵はちょっとしたトラウマになるかもしれん。 理不尽な負け方をして泣きたくなることも時にはあるが、 戦略がうまくいって勝ったときには達成感も大きい。 |
《お金が大事》
このRPGは、とにかくお金が貯まりにくい。 終盤になっても敵が落とすお金が少ない上に、 買わなければならない道具はいくつもある。 だから、最後まで金欠気味でお金の大切さを身に染みて味わえる。 |
その点に関しては、 ある程度時間はかかりますが ちゃんとお金を稼ぐことができる場所がありますから、 それほど心配することはないと思いますよ。 |
そうだな。その場所はしっかり覚えておかねばな。 終盤はお金をかけて十分に装備と道具を整えておいたほうがいい。 万全の準備が攻略への近道だね。 |
《イベント》
この作品にはドラクエを意識したような 小ネタやパロディが随所に散りばめられている。 ドラクエシリーズに馴染みのある人ならば、 ニヤリとすること間違いなしだぞ。ぜひ探してみてほしい。 |
でも博士、この作品は ユーモアやパロディだけの作品ではないと思います。 シリアスな展開もありますし、 全体としては非常に重いテーマを扱っています。 単純な勧善懲悪の話ではありませんよね? |
おお、その通りだ。 表向きは勇者が魔王を倒すという王道のシナリオだが、 その中にはもっと深いシナリオやテーマが隠されている。 シナリオがしっかり作り込まれているから、 登場人物にも魅力があって印象に残る。 わしは、作中に登場するある脇役が非常に好きだ・・・ |
《マルチエンド》
これは、え~と・・・どこまで話したらいいか・・・ この作品はマルチエンディングなのです。 全部で3つのエンドがあって、そのうち1つが真エンドなのね。 |
他の方が書いておりましたが 真エンドを見る方法はとても難しいそうですね。 博士、当たり障りのない形でヒントをお出しできますか? |
う~む、そうだなあ・・・ 考え方としてはある意味、非常に単純なんだけどねぇ・・・ ただ考えるのと実際に行動するのは別なわけで・・・ 何となく頭では予想がつくけど、あまり実行したくないと言うか・・・ ノベルゲームでは普通に使われてる方法なんだけどね・・・ これじゃ何言ってるのかわからんか・・・ とりあえず通常のエンドを見ると出て来る指示には従いましょうね。 それから途中経過は関係ないですぞ。終盤の行動に注意してくだされ。 |
どうも歯切れが悪いですね・・・ とにかく通常エンドを見た後に出る指示がポイントなのですね。 それから終盤の行動が鍵になるということですか。 皆様も余裕があれば探してみてくださいね。 |
というわけでまとめると、この「大規模なRPG」は、 昔のドラクエを意識したような雰囲気を味わえる稀有な作品だ。 ファミコンでドラクエに慣れ親しんだ人はぜひプレイしてみてほしい。 また、シナリオの流れに沿って手取り足取り進み方を教えてくれるゲームに 慣れている人にとっては、この作品はかなり戸惑うかもしれんが、 やり応えのあるゲームになるはずだ。 さらに作り込まれたシナリオは、 この作品独自の魅力と言えるだろう。 このようにドラクエらしさを追求しつつ、 作者のcdv30200さんのセンスが生かされて 独自の魅力を持った作品が完成した。 この魅力は市販のゲームでは味わえない、 このゲームでしか味わうことのできないものだと思う。 |
多くの方にプレイして、この魅力を知っていただきたいですね。 それでは、今回のレビューはここまでといたします。 長文にお付き合いいただき、ありがとうございました♪ |
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私も初期のDQ大好きです(^^)なのでこの作品はその影響を受けています。
特にDQ2は難しくて面白かったですね〜。
ロンダルキアに自力で着いた時の感動は今でも覚えています。
未だに家に攻略本があって、復活の呪文をメモったのも挟んでありますよ。
船のスクリプトは本当に手間がかかりましたけど、それによって
話のスケールを広げる事ができました。がんばって作ってよかったです。
「宿屋処理(runInn関数)」みたいに、船に乗る関数があれば楽ですけどね〜。