は駅とスーパーがある

投稿者:User icon mini lomen123 投稿日:2016/09/23 18:56

いくつも小さな山があった
山は削られ街になった
山の古いかたちも残ったので
新しい街は坂が多い
ぼくは坂の途中に住んでいる
坂の上に
そこは一日が始まるところでもあり
終わるところでもある
坂の下には古い神社と田んぼがある
畦道は古代の風景に続いている

茅淳県陶邑(ちぬのあがたすえむら)と呼ばれた村
陶邑(すえむら)とは陶器(須恵器)を焼く村のことらしい
毎朝ぼくは石段を上ってウォーキングをする
その脇の斜面に古代の窯跡がある
かつて須恵器を焼く煙が立ちのぼっていたという
近くには陶器山という山があり陶器川という川がある
ぼくは石段を上って縄文のドングリをひろい
枯木を拾って弥生人のふりをしてみる
新しい一日が古い一日から始まることもある

過ぎた日のいつか
父と近くの山で赤土を掘った
金木犀の庭をつぶし
父は土をこねて小さなかまどを作った
その頃の父は強くて恐ろしくて弥生人だった
かまどの薪をうまく燃せないぼくは
泣きながら穴倉をとび出した
あれが父とのいちどきりの共同作業だったかもしれない
いまではかまどの家も父も古い一日となった

新しい一日はゆっくり始めたい
いつも急(せ)かされながら生きてきた
急(せ)いて急(せ)きまへんとは
せっかちな大阪人の口ぐせだ
急きまへんと言いながら急かしているのだ
なぜそんなに急かすのかわからない
急げばミスが起きる
まちがいは直さねばならない
直せば直すほど急いだことが無駄になる
ずいぶん無駄ばかりしたもんだ
そんな古い夢はすてて新しくしたい

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