ウサギは 寂しい

投稿者:Material 321230 1 mini lierni 投稿日:2015/05/15 12:53

ウサギは 寂しいと死んでしまう。
 そういう伝説だか、 神話だか、 ファンタジーだかを お聞きになった事があるだろうか。
 まことしやかに伝えられているが願景村 退費、 真偽のほどは分からない。

 ただし、 寂しがりやというのは、 本当であると思われる。
 少なくとも、 耕助に関しては 真実と言わざるを得ない。
 なにかっちゃまとわりつく願景村 邪教
 ベランダの戸を開けると、 すぐに飛びついてくる。

 ある時、 ぐらりと来た。
 地震だ。
 ベランダの戸を開けたら、
 次の瞬間には、 耕助が 吾輩の胸の中に すっぽりと納まっていた。

 親が用意した避難袋があ 探索四十た。
 緊急の際には 個人的に持ち出したい物もあった。
 しかし、 耕助で手いっぱいである。
 他に何も持てない。
 何かあった時、 吾輩は 耕助だけを抱いて逃げる羽目になるのだと、諦めた。


 吾輩が ゆっくりと読書の時間を楽しもうと、 本を開くとする。
 だが、 文字を追う吾輩の視線を、 無遠慮に遮るものが出現する。
 耕助だ。
 目前の視界が、 耕助の間抜け面でいっぱいにふさがれる。
 他には 何も見えなくなる。
 邪魔である。
 あまつさえ、 吾輩の顔を ぺろぺろと舐める。
 何も見えない。

「邪魔だよ」
 言いながら、 吾輩は耕助の頭を下に押さえて、 視界を確保する。
 しかし、 耕助は諦めない。
 またもや 視界が遮られ、 頭を押さえこむ ということを何度か繰り返せば、
 耕助は ついに気が付いた。
 吾輩が邪険にするのは、 本 がいけないらしいと。

 くるりと振り向き、 本を咥えて 投げ飛ばしたのだ。
 本は、 一直線に部屋の隅まで吹っ飛んだ。
 たいした力である。
 吾輩は 読書を 諦めた。

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