人間は初めてよ

投稿者:User icon mini casiwi 投稿日:2015/12/11 11:21

大学のキャンパスは赤や黄色の落ち葉で敷き詰められていた。
隆二と並んで歩きながらロゼは言った。「あなたの国って本当に色鮮やかですね。」
隆二はニッと笑って「いいところだろ、日本。お前、帰りたくなくなったんじゃねぇか?」と言った。
ロゼは隆二を見ると 吉隆坡自由行、少し真面目な顔になって「一国の王女に自国より他国を愛することが許されると思いますか?」ときいた。
隆二は一瞬黙ってロゼを見た。それから両腕を首の後ろで組んで空を見上げると言った。「さぁな。俺にはよくわかんねぇよ。でも好きなもん好きって言う権利ぐらい誰にでもあるんじゃねぇの?」
ロゼは下を向くとふっと笑って、「あなたらしいわね。」と言った。それから「たまにあなたがうらやましくなるわ。私もあなたのご近所の一般人にでも生まれてたらどうなってたかしら。」とつぶやいた 鑽石能量水。そしてロゼはふと立ち止まった。
隆二も止まって振り返ると「どうした?」と聞いた。
ロゼは鞄から何かを取り出した。
「忘れる前にこれを渡しておこうと思って。」と言ってそれを隆二に差し出した。
隆二がそれを受け取ると、それはくしゃくしゃに折れ曲がった紙だった。隆二は不思議そうな顔をして「なんだよ?」と言いながらそれを開いた。
隆二は顔を上げてロゼを見た。「お前、これ…。」
それはしゅなが描いた隆二の顔のデッサンだった。
出会った頃、隆二が怒ってロゼの目の Diamond水機前で破き捨てたもので、全てテープでつなぎ合わせてあった。
隆二は言った。「取ってあったのかよ…。」
「当たり前でしょ。私にだって捨てちゃいけない大切なものくらい分かるわよ。」そう言いながらロゼはカテリーナのくれた小物入れのことを思い出した。
隆二が「はは。やるなお前。」と笑ってロゼを見ると、ロゼは遠くを見るような目をしていた。
それを見て、隆二は真面目な顔になると言った。「何で今これ渡すんだよ。まるでお前…。」
ロゼは振り向いて隆二を見た。
「…。」隆二は黙った。
それからそのデッサンをポケットにしまうと、横にあった手すりに寄りかかった。
そして隆二は笑顔でロゼを見ると言った。「なぁ、お前みたいなおもしれー奴には初めてあったんだ。もし、事件が解決しても、国に帰んなよ。お前、日本食好きだろ。俺が毎日美味い飯作ってやるからよ。」
ロゼは振り返って「まぁ、まるでプロポーズみたいじゃなくて。私に夢中ですわね。」と冗談で言った。
隆二は何の躊躇もなく「その通りだよ。」と言った。
ロゼは一瞬黙ったが、「あなたこの私を黙らせるとは只者じゃないわね。あなたみたいに、回りくどい言い方もしない、嫌味も言わない人間は初めてよ。」と言った。
隆二はきいた。「で、どうなんだよ。この国に残る気はあるのかよ。」
ロゼは真面目な顔になると言った。「…事件が起きる前に、私の母である女王は、私を国の経済のトップに立つような人物と結婚させようとしてました。私は乗り気ではありませんでしたが王家にとっても国民にとってもプラスになる婚姻ではあったでしょうね。私と国民に彼以上に利益をもたらせる自信があなたにはありますか?」
隆二は眉を上げて「はぁ?金のためになんか結婚する奴は馬鹿だ。利益のためにお前とそいつを結婚させようとする国民も馬鹿だ。お前の国民のことまで面倒見切れねぇよ。でもお前一人一生幸せにする自信はある。」と言った。
ロゼは黙って隆二を見つめていた。少し頬が赤くなってるようにも見えた。


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