滑らせただけ

投稿者:User icon mini casiwi 投稿日:2015/10/22 17:33

「おい大丈夫か?」
心配そうに見上げたその黒曜石の瞳は色あせることなくつくしの目の前で今同じ輝きを放つ。

「あの時は、急に司が声をかけるからびっくりして足を滑らせただけでしょう」
「俺が受け止めたからお前が助かったんだろう。
あの時の傷まだ残っ數學M2てるぞ」
つくしの目の前に前髪をかき分けて額をつきつける。

「どこよ」
かすかに残る2センチほどの傷。
顔が触れ合うほど近づかななければその傷に気が付くものはほとんどいないと思うような痕。

「俺に傷をつけて罰を与えられなかったのはお前だけだからな」
お恩着せがましいその声は傷あとに触れるつくしの指先をそっと包みこむ。

ドクンと波打つ心臓が、慣れないコルセットのせいでますますつくしの呼吸を乱した。
つくしの指先を離れた司の額はそのままコツンとつくしの額に触れた。
少しずれた角度は頬に鼻先の冷たさを感じる。
肌に触れる息は熱くて、その熱が肌の冷たさをなくしていくようだ。
きゅぅと握られたままの指先から伝わる温もりが心地よくてしかたない。

「触れても大丈夫か 囍宴大師?」
触れられても不快にならないのは司だからだとつくしは思う。
今も手を握られて、必要以上に身体も近くて、これ以上触れる場所がどこにあるのだろうとつくしは可笑しく思う。
それでも、こくりとうなずきをつくしは見せた。

「じっとしろ」
つくしの顎を司の指が待ちあげて角度を変えた。
フッと笑みを零すその顔は悔しいほどに見惚れてしまいそうなくらい美しい。
心臓が忙しく音を立てると心の動揺も広がってつくしは司に言われなくても動けそうもない。

「・・・・んっ・・・」
司の顔が近づいてぼやけて見えなくなった瞬間にいきなり唇を塞がれてしまっていた。

あまりの突然の出来事に目を見開曼谷旅遊くつくしと司の視線が絡まる。
そして鼻腔をくすぐる官能的で濃厚な甘い香り。
初めてのキスでつくしは何が起こったかわからず頭の中が真っ白になっていく。

「ふ・・・っ」
わずかに動く唇の合間から必死で呼吸をするための息を継ぐ。
それが刺激となって司の唇はつくしの唇を強く塞いでいく。

突然のキスのありえない状況に気が付きつくしは逃れようとするが、逃がさないとでもいうようにつくしの柔らかい唇を割って、司の
舌先が押し込まれていった。

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