だってあなたずいぶん
投稿者: believegut 投稿日:2016/08/18 11:48
突然、王女は新たな心配に襲われた。「もし笑われたらどうすればいいのかしら」彼女は怯えたような声でたずねた。
「殿方の前で剣を抜いてみせればよろしいんじゃないこと?」少女はおごそかな声で答えた。
「あなた、わたしをからかってるの」
「いいえ、とんでもありませんわ、王女さま」アダーラは心底まじめな顔で答えた。
再び会議室のドアの前にたったセ?ネドラは深く息を吸い込んで、またもやノックをせずに入っていった。ノックなどすれば、彼女が当然そこにいるべき権利に疑いを持っているように思われる恐れがあった。
「皆さま方、いかがかしら」セ?ネドラは居並ぶ王や軍人たちにもっとよく見えるように、部屋の中央まで行って立ち止まった。
ローダー王が礼儀正しく立ち上がった。「これは王女さま」かれは一礼して王女をむかえた。
「いったいここ数日どこにおいでだろうと噂していたのですが、これでやっとわかりましたよ」
「どう、いかがかしら」彼女はそう聞かずにはいられなかった。そしてさらによく見えるよう一回転してみせた。
ローダー王は考え深げな目をしてじっと彼女の姿を眺めた。「いやはや、なかなかのものじゃないかね」かれは他の男たち優悅 避孕に向かって言った。「ちゃんと出るべきところは、出ているし。これならアレンド人は彼女に群れをなしてついてくるぞ。トルネドラ人も――まあ、かれらに関してはそのときになってみなければわからんが」
アンヘグ王は自分自身と必死に戦っているようすだった。「何だってわたしがこんなことにかかずり合わなくちゃならんのだ」かれは非難するように言った。「まったくもって考えただけでもぞっとするが、別にとりたてて反駁するような理由もないしな」かれはさらにじろじろとセ?ネドラを眺めた。「まあ、それほど悪くもないな」ついにアンヘグ王はしぶしぶ認めた。
「むろん非常識には違いないが、その鎧姿で十分埋め合わせがつくだろう。いや、ことによるとそれ以上の効果があるかもしれん」
「陛下にご賛同いただけるなんて、何という光栄でしょう」セ?ネドラ王女は涙にかきくれんばかりに言った。彼女はお辞儀をしよ優思明うとしたが、鎧に妨げられてできなかった。王女は困惑したようなほほ笑みを浮かべると、野蛮人のようなチェレクの王に向かって長いまつ毛をぱちぱちさせた。
「頼むからそいつをやめてくれ、セ?ネドラ」王はいらいらしたような口調で言った。「わたしはそいつのおかげでさんざんひどい目にあってきたんだ」かれはじっと王女をねめつけていたが、ようやくこう言った。「よし、わかった。わたしも皆の考えに賛同することにしよう。わたしとしてはどうにも気にくわんが、このさいそれは抜きにしておいた方がよさそうだ」アンヘグ王は立ち上がると王女に優思明向かって一礼した。「妃殿下」かれは自分の言葉に息をつまらさんばかりに言った。
セ?ネドラは晴れやかな笑みを浮かべ、つられてお辞儀を返そうとした。
「お辞儀などせんでよい、セ?ネドラ」アンヘグ王は苦々しげに忠告した。「〈西の大君主〉は誰に対しても頭を下げたりしないものだ」かれは憤激したようにドラスニアの王の方を振り返って言った。「やっぱりどう考えたってうまく行くわけがないぞ、ローダー。われわれはいったい彼女を何と呼べばいいのだ。〈西の大君女〉か? そんなことをしたら十二の王国から笑い物になるだけだぞ」
「単純に〈リヴァの女王〉と呼べばいいではないか、わが友アンヘグよ」ローダー王が優雅な口調で言った。「われわれは彼女の前に頭を下げない連中の頭を叩き割るだけのことさ」
「いやそのような心配はいらん」アンヘグはしかめっ面をして言った。「わたしが彼女に頭を下げれば、みんな後に従うさ」
「それで一件落着というわけね」会議室の片すみの暗がりのなかから聞き覚えのある声がした。
「レディ?ポルガラ」セ?ネドラは驚きのあまり息をつまらせた。「そんなところにいらしたなんて、ちっとも気がつきませんでしたわ」
「それは無理もないわね」ポルガラが答えた。忙しそうだったもの」
「わたし――」セ?ネドラは口ごもった。
ポルガラは注意深く紅茶茶碗をおろすと明るい場所に進み出た。その顔はしかつめらしい表情を浮かべていたが、鎧に包まれた王女を見る目にはかすかにおもしろがっているような光があった。「なかなかおもしろいじゃないの」彼女が言ったのはそれだけだった。
セ?ネドラはたちまちぺしゃんこになった。
「皆さま方」ポルガラは一同にむかって言った。「むろんまだまだ論議がおありでしょうけれど、わたしと王女はこれから少しばかり内密の話をしたいと思うの。申しわけないけれど、失礼させていただくわ」そう言うなり彼女はドアにむかって歩き出した。「いらっしゃい、セ?ネドラ」ポルガラは後ろをろくに振り返ろうともせずに言った。
セ?ネドラはおののきながら後に従った。
ポルガラは自室に戻り、背後でドアを閉めるまでひとことも口を聞かなかった。それから振り返ると鎧姿の王女を厳しい目で見た。「あなたが何をしていたか、すっかり聞いているわ。さあ、いったいどういうことなのか説明してちょうだい」
「だってあの人たち、そのことで言い争っていたんですもの」セ?ネドラはしどろもどろになった。「誰かみんなを統一する人が必要だって」
「それであなたがその役を引き受けようと思い立ったってわけ?」
「あの――」
ツイート
「殿方の前で剣を抜いてみせればよろしいんじゃないこと?」少女はおごそかな声で答えた。
「あなた、わたしをからかってるの」
「いいえ、とんでもありませんわ、王女さま」アダーラは心底まじめな顔で答えた。
再び会議室のドアの前にたったセ?ネドラは深く息を吸い込んで、またもやノックをせずに入っていった。ノックなどすれば、彼女が当然そこにいるべき権利に疑いを持っているように思われる恐れがあった。
「皆さま方、いかがかしら」セ?ネドラは居並ぶ王や軍人たちにもっとよく見えるように、部屋の中央まで行って立ち止まった。
ローダー王が礼儀正しく立ち上がった。「これは王女さま」かれは一礼して王女をむかえた。
「いったいここ数日どこにおいでだろうと噂していたのですが、これでやっとわかりましたよ」
「どう、いかがかしら」彼女はそう聞かずにはいられなかった。そしてさらによく見えるよう一回転してみせた。
ローダー王は考え深げな目をしてじっと彼女の姿を眺めた。「いやはや、なかなかのものじゃないかね」かれは他の男たち優悅 避孕に向かって言った。「ちゃんと出るべきところは、出ているし。これならアレンド人は彼女に群れをなしてついてくるぞ。トルネドラ人も――まあ、かれらに関してはそのときになってみなければわからんが」
アンヘグ王は自分自身と必死に戦っているようすだった。「何だってわたしがこんなことにかかずり合わなくちゃならんのだ」かれは非難するように言った。「まったくもって考えただけでもぞっとするが、別にとりたてて反駁するような理由もないしな」かれはさらにじろじろとセ?ネドラを眺めた。「まあ、それほど悪くもないな」ついにアンヘグ王はしぶしぶ認めた。
「むろん非常識には違いないが、その鎧姿で十分埋め合わせがつくだろう。いや、ことによるとそれ以上の効果があるかもしれん」
「陛下にご賛同いただけるなんて、何という光栄でしょう」セ?ネドラ王女は涙にかきくれんばかりに言った。彼女はお辞儀をしよ優思明うとしたが、鎧に妨げられてできなかった。王女は困惑したようなほほ笑みを浮かべると、野蛮人のようなチェレクの王に向かって長いまつ毛をぱちぱちさせた。
「頼むからそいつをやめてくれ、セ?ネドラ」王はいらいらしたような口調で言った。「わたしはそいつのおかげでさんざんひどい目にあってきたんだ」かれはじっと王女をねめつけていたが、ようやくこう言った。「よし、わかった。わたしも皆の考えに賛同することにしよう。わたしとしてはどうにも気にくわんが、このさいそれは抜きにしておいた方がよさそうだ」アンヘグ王は立ち上がると王女に優思明向かって一礼した。「妃殿下」かれは自分の言葉に息をつまらさんばかりに言った。
セ?ネドラは晴れやかな笑みを浮かべ、つられてお辞儀を返そうとした。
「お辞儀などせんでよい、セ?ネドラ」アンヘグ王は苦々しげに忠告した。「〈西の大君主〉は誰に対しても頭を下げたりしないものだ」かれは憤激したようにドラスニアの王の方を振り返って言った。「やっぱりどう考えたってうまく行くわけがないぞ、ローダー。われわれはいったい彼女を何と呼べばいいのだ。〈西の大君女〉か? そんなことをしたら十二の王国から笑い物になるだけだぞ」
「単純に〈リヴァの女王〉と呼べばいいではないか、わが友アンヘグよ」ローダー王が優雅な口調で言った。「われわれは彼女の前に頭を下げない連中の頭を叩き割るだけのことさ」
「いやそのような心配はいらん」アンヘグはしかめっ面をして言った。「わたしが彼女に頭を下げれば、みんな後に従うさ」
「それで一件落着というわけね」会議室の片すみの暗がりのなかから聞き覚えのある声がした。
「レディ?ポルガラ」セ?ネドラは驚きのあまり息をつまらせた。「そんなところにいらしたなんて、ちっとも気がつきませんでしたわ」
「それは無理もないわね」ポルガラが答えた。忙しそうだったもの」
「わたし――」セ?ネドラは口ごもった。
ポルガラは注意深く紅茶茶碗をおろすと明るい場所に進み出た。その顔はしかつめらしい表情を浮かべていたが、鎧に包まれた王女を見る目にはかすかにおもしろがっているような光があった。「なかなかおもしろいじゃないの」彼女が言ったのはそれだけだった。
セ?ネドラはたちまちぺしゃんこになった。
「皆さま方」ポルガラは一同にむかって言った。「むろんまだまだ論議がおありでしょうけれど、わたしと王女はこれから少しばかり内密の話をしたいと思うの。申しわけないけれど、失礼させていただくわ」そう言うなり彼女はドアにむかって歩き出した。「いらっしゃい、セ?ネドラ」ポルガラは後ろをろくに振り返ろうともせずに言った。
セ?ネドラはおののきながら後に従った。
ポルガラは自室に戻り、背後でドアを閉めるまでひとことも口を聞かなかった。それから振り返ると鎧姿の王女を厳しい目で見た。「あなたが何をしていたか、すっかり聞いているわ。さあ、いったいどういうことなのか説明してちょうだい」
「だってあの人たち、そのことで言い争っていたんですもの」セ?ネドラはしどろもどろになった。「誰かみんなを統一する人が必要だって」
「それであなたがその役を引き受けようと思い立ったってわけ?」
「あの――」
コメントする
コメントするには、ログインする必要があります。
コメント一覧
コメントはありません。