この映画の舞台となった時代は

投稿者:User icon mini sosad 投稿日:2015/06/01 16:10

『ウルトラQ』というテレビ番組があった。
あのウルトラマンがテレビに誕生する前作で、
円谷プロダクションが制作、1966年に放送された。

1回完結のドラマで、1作について1つの怪獣ないし怪奇の物語が放映されていた。
このドラマには、ウルトラマンなどのヒーローは出てこずに、
怪獣の性質や生まれ、特徴などが語られていた。
伝説のカネゴンも、このシリーズから生まれた。
このウルトラQ が『ネオ・ウルトラQ』として、
来年度から放送されることになったそうだ。

前作当時は、モノクロテレビで、おまけに画質が悪かったせいで、
逆に、特撮や模型セットが、よりリアルに感じたが、
今の時代、画質が良くなっているために、リアルに見せるには、かなり大変だろうと察する。
高画質だと、よほどキメ細かく怪獣や模型のビル群を作らないと
チャチく見えたりしてしまうだろう。

もともと映画は、フィクションを描く世界であるため、高画質というリアルさは、
かえってマイナスとなってしまう。

『三丁目の夕日』なども、いい映画とされるが、
舞台となった昭和33年当時を描くのであれば、
その時代の画質にならないとリアルさが出てこない気がする。
小林伸彦氏が1987年に書いた「エンタテインメント評判記」に
大森一樹監督の『トットチャンネル』という映画の評が出ていた。
この映画の舞台となった時代は、
1987年のことではなく、それから30年ほど前のこと。
映画評では、時代考証の点での不自然さを指摘していた。

時代には、その時代が持つ独特のニオイのようなものがある。
昔を演じるためには、時代考証もさることながら、
登場人物一人一人が、そのニオイを醸し出すぐらいにならなければ、
嘘くさいものになってしまう。

黒澤明の『七人の侍』が今でも不朽の名作とされている所以(ゆえん)と
感じるのは、侍たちよりも、百姓たち。
ここまで汚い衣装があるのかと思うぐらいの半裸のキモノを身に纏っている。
彼らが現代を生きている役者であるとは、
とても思えないほどのリアル感がある。
時代のニオイがプンプンする。
そう感じるのは、昔の映像の画質が低かったせいで、
リアル感を増幅していたのかもしれない。

新たな『ウルトラQ』の画質が低い映像であることに期待したい。

怪獣の背中についているファスナー痕は、見たくない。

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